2015年2月19日木曜日

再度の契約と幕屋建設(出エジプト記 11)

 神はモーセに再び戒めの石版を与える。モーセは神と語り合うための幕屋を建設し、人々に神の言葉を伝えた。だがイスラエルの民の旅はさらに続く。




 モーセは宿営の外の遠く離れた所に天幕を張り、それを臨在の幕屋と名付けた。モーセが宿営から幕屋に向かうとき、人々はそれぞれの天幕の前に立ってモーセを見送る。モーセが幕屋に入ると、雲の柱が降りてきて幕屋の入口に立つのが見えた。モーセは幕屋の中で神と語り、語られた言葉を人々に告げた。モーセは毎日幕屋と宿営を行き来し、モーセの従者ヨシュアが幕屋を離れず警備していた。ある日、神はモーセを通してイスラエルの民にこう語った。

 「あなた方はこれから、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブと約束した土地に入っていく。そこには既に、カナン人、アモリ人、ヘト人、ペリシテ人、ヒビ人、エプス人などが住んでいるが、わたしは使いを先回りさせてこれらの者たちを追い出しておこう。あなたがたは安心して、乳と蜜の流れる約束の地に入っていくがいい。だがわたしはあなた方に同行しない。あなた方の振る舞いを見てわたしが怒りを発し、あなた方を滅ばしてしまわないためだ」。

 人々は神の子の言葉に狼狽した。エジプトを出てからこれまで神と片時も離れたことがない人々にとって、神がもはや同行しないというのは、神に見放され見捨てられるも同然だ。頼る者のない荒野の中で、神なしでどうして生きていくことができようか。そんな人々を見て、神は言った。

 「あなた方の振る舞いは時に我慢がならないときがあり、わたしは怒りのあまりあなた方を滅ぼしてしまうかもしれない。例えばあなた方が身に着けているエジプト風の装飾品はどうだ。あなたがたはエジプト人たちから奪い取った装飾品にエジプトの神々が刻まれていても、まるで気にしていないではないか。まずはそれらの装飾品を体から取すがいい。もしそれができるなら、わたしはあなた方をどうするか考え直してもよい」。

 神の子の言葉を聞いて、人々は大あわてで装身具を捨て去った。モーセは改めて神に民を許すように願い、神もこれに応えて、その後の旅にも民と同行することを約束した。そして失われてしまった十戒の石版の替わりに、新しい戒めの石版を与えることになった。モーセは石を切り出して2枚の板を作り、それを携えてシナイ山に登った。モーセが神と再度契約を結んで山を降りてきたとき、その顔の肌は不思議な輝きを発していて人々を驚かせた。モーセは顔に覆いを掛けてそれを隠すようになった。

 戻って来たモーセが人々に命じたのは、臨在の幕屋を神のために整備することだった。特性の布で幕屋を覆い、神に与えられた十戒の石版を入れる契約の箱を安置した。犠牲を捧げる祭壇、儀礼を行うための机、燭台、香を炊く壇などを作り、祭司たちが身に着ける祭服を整備した。神がこの幕屋の内にある時、人々は旅の歩みを止めた。その時、神は昼間に雲の柱となって幕屋の上にあり、夜は幕屋上空の雲の中で火のように輝いていた。神が幕屋から去ると、人々は荷物をまとめて出発した。

(出エジプト記33~40章)

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