2015年2月27日金曜日

愛用しているのは既に絶版の聖書

一番利用頻度の高い聖書

 聖書は何十冊か持っているが、ごくわずかな例外を除いてガラス扉付きの本棚に押し込んだままだ。そんな中で、珍しく仕事机の引き出しに放り込んであり、椅子に座ったままでもすぐ取り出せる場所に置いてある聖書がこれだ。

 これは日本聖書協会の「新共同訳 カジュアル聖書 旧約続編つき(創造)」というもので、定価は1,900円(税抜)。中身は本文横組みで、通常の聖書1ページ分を2段に分けて1ページにレイアウトする「ハンディバイブル」と同じ形式。旧約聖書と新約聖書に加えて、旧約聖書続編と、読むためのガイドというの付いている。このガイドは用語や度量衡の説明など、ごく簡単なもので、いちいち断らなくても新共同訳聖書にはたぶん全部付いていると思う。

カジュアル聖書の利点

 この聖書を愛用している理由は簡単。まず薄いので場所を取らない。1ページに通常聖書の2ページ分を印刷しているから、厚みが半分になっている。机の引き出しに放り込んでおいても、ゴロゴロじゃまっけになることがないのだ。

 次に横書きなのでパソコンで横書きの作業をしているときに、目の移動が楽な気がする。ただしこれは「気がする」だけで特に根拠はない。

 この聖書はかなり文字サイズが小さいのだが、小さいなりにちゃんと読める組版になっている。既に老眼になっている僕などは、同じ文字サイズで縦組みだったらもう「ゲゲゲ!」という感じになりそうな、これは明るいところならちゃんと読めるな……。


 大事に使って何十年も持たせようとか、そういうものではない。表紙も紙にビニル加工をしただけの簡便なもので、要所のペーパーバックなどに近い雰囲気。それでいてページはしなやかに開けて、ページを開きっぱなしにしていてもひとりでに閉じてしまうようなことがない。

 そして一番の利点は、値段が安いこと。値段が安いから書き込みなども安心してできる。聖書をよく読む人は平気で書き込みをするんだけど、僕は「本は汚すな」と言われて育ったせいか、それができない性分。特に1冊5,000円ぐらいするような聖書だと、まず書き込みができない。でもカジュアル聖書だとぜんぜん遠慮しないのだ。(まあ他に同じ内容の聖書を何冊も持っているしね。)

残念ながら既に絶版

 このカジュアル版は2003年に発行されたのだが、その後は後が続かず、今はもう手に入れることができない聖書になってしまった。同じ組版の「ハンディバイブル」や「バイブル・プラス」は手に入るのだが、それだと値段的に小型聖書とあまり変わらなくなってしまうので「薄い」という意外にメリットはあまりないだろう。

 紙装の新約聖書は教会学校用などにたくさん出ているが、旧約聖書や続編まで含めて紙装にしたのはこのカジュアル聖書ぐらいしかなかったのではないだろうか。「聖書協会は聖書のラインナップを整理して減らすべきだ」というのが僕の基本的な考えではあるのだが、カジュアル版は残しておいてもよかった判のような気がするんだけどなぁ……。

 キリスト教系の学校なら聖書の授業用に、生徒にまとめて聖書を買わせたりしないんだろうか? そういうときに安い聖書のニーズはあると思うんだけど。学校じゃ新約聖書しか使わないですか? でもカジュアル聖書なら旧約聖書を合わせても、ビニル装の新約聖書と同じぐらいの値段だと思うんだけどなぁ。

聖書は読むものではなく使うもの

 ただしこのカジュアル聖書は、「聖書を1冊だけ買うとしたら何がいいですか?」というニーズには向かないのです。ビニル装やハードカバーの聖書なら大事に使えば一生ものだけど(僕が持っている聖書の中にはそれよりもっと古いものが何冊かあるけどね)、紙装のカジュアル聖書にその重みはないからな……。

 でも聖書は「読み物」ではなく「使うもの」なのです。どんどん開いて、どんどん書き込みをして、読んで、使って、読み倒して、使いまくって、ぼろっぼろにしてしまうのが、本当なら聖書にとっての勲章みたいなもの。(僕はそこまでやったことないけど。)だから聖書を本格的に読もうとする人(使おうとする人)は、もったいぶって立派な装丁の聖書を買わずに、紙装の聖書を徹底的に酷使した方がいいのです。

 革装の聖書を本棚に仕舞い込んでお飾りにするよりは、紙装の聖書を1冊だめになるまで活用した方がいいと思うんだよね。紙装の聖書を徹底的にそこまで酷使できれば、その後に革装の聖書を買い直してもきっと過去の活用が生きてくるような気がするけど。

結構頑丈なカジュアル聖書

 日本の印刷製本技術は世界一なので、カジュアル聖書もかれこれ10年以上手もとにあるけどまるでびくともしていない。無線綴じだけど背割れしてページの開きがバカになってしまったり、一部のページが抜けてしまうといったことは皆無。

 ちなみにこれを印刷していたのは、各種の辞書で有名な三省堂印刷。辞書もまた「使う本」として酷使される運命にあるから、聖書とは似たところがあるな。

 そんなわけで今も僕は愛用しているカジュアル聖書なので、日本聖書協会にはできればこの復活をご検討いただきたい。まあ復活したからといって僕がまた買うことはないわけですが、「聖書を買いたいんだけど」という人にお薦めすることはできる。

 じっくり聖書の内容を熟読吟味したい人は「引照つき」がいいけど、聖書に何が書かれているかを知りたい、小説のようにひたすらどんどん読みたいという人にはカジュアル聖書という選択もあった方がいいんだよ。

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